【探偵の現場から】その優しさが危険かも？「かわいそう」と放し飼いにする前に知ってほしいこと

「家の中だけだと狭くてかわいそう」

「うちの子は私の言うことを理解しているし、心も繋がっているから大丈夫」

そう信じて、猫ちゃんの自由を尊重し、部分的にお外に出してあげている飼い主様は、本当にたくさんいらっしゃいます。その深い愛情と信頼関係は、とても素敵なものです。

しかし、最近、私たちのもとに寄せられるご依頼で非常に多いのが、**「そんな、いつも通りお外に出たはずの猫ちゃんが、突然帰ってこなくなった」**という、悲痛なご相談なのです。

「いつもは夕方には帰ってくるのに…」

「もう何日も姿を見ていないんです…」

昨日までの日常が突然失われた飼い主様の、張り裂けるようなお気持ちが伝わってきて、私たちも胸が締め付けられる思いです。

毎日のお散歩コースに慣れている猫ちゃんでも、突然帰れなくなってしまうのには、いくつかの理由が考えられます。

「うちの子は賢いから大丈夫」そう思っていても、猫ちゃんの本能や、予期せぬアクシデントによって、いつもの日常は簡単に壊れてしまうことがあるのです。

猫ちゃんが帰ってこなくなり、パニックになった飼い主様は、インターネットや知人からのアドバイスを元に、様々な手を尽くされます。しかし、その中には、かえって猫ちゃんを家に帰れなくしてしまう危険な方法も含まれているのです。

一番よくある間違いが、「監視なしで、お庭や玄関に捕獲器とご飯を置き続ける」というもの。

一見、効果的に思えるこの方法ですが、実は大きな落とし穴があります。

数日間もご飯を置き続けると、あなたの猫ちゃんではなく、近所の野良猫や、時にはハクビシンやタヌキなどが餌を求めて集まってきてしまいます。

そうなると、あなたの家のお庭は、他の動物の「縄張り」や「餌場」になってしまうのです。

臆病になっているあなたの猫ちゃんは、他の動物の匂いや気配を察して、**「自分の家に知らないやつがいる…怖い…帰れない…」**と感じ、ますます家に近づけなくなってしまいます。

実際に私が扱ったケースでも、飼い主様が設置した餌場に野生動物が住み着いてしまい、飼い猫ちゃんが家のすぐ近くまで来ているのに、中に入れず衰弱してしまった…という悲しい事例がありました。

捕獲器の設置は、猫ちゃんの行動ルートを正確に予測し、適切な場所に、適切な時間だけ監視カメラを設置して仕掛ける高度な技術が必要です。

外の世界で得られる刺激や喜びも、猫ちゃんにとっては大切なものかもしれません。

もし、様々なリスクを理解した上で、それでもお外に出してあげたいと願うのであれば、飼い主としてできる最大限の備えをお願いします。

まず、よくある誤解についてお伝えします。

通常の首輪だけでは不十分です: 連絡先を書いた首輪は、誰かに保護された時には役立ちますが、居場所を特定することはできません。 それどころか、喧嘩や事故でちぎれて無くなってしまうケースも非常に多いです。
マイクロチップにGPS機能はありません: ペットショップなどで装着を勧められるマイクロチップは、あくまで保護された後に専用の機械で読み取る「身分証明書」です。GPSのように、リアルタイムで居場所を追跡する機能は一切ありません。

これらを踏まえた上で、唯一にして最強の備えと言えるのが、「GPSトラッカー」を取り付けてあげることです。

最近は技術が進歩し、猫ちゃんの負担にならないような小さくて精度の良いGPSがたくさん市販されています。これがあれば、万が一帰ってこなくなっても、スマートフォンのアプリなどですぐに居場所を特定できます。これは、飼い主様にとってと猫ちゃんにとって、捜索において非常に強力な手がかりとなります。