京都で猫を迷子にした方へ|プロが教える迷子猫の探し方

京都で猫脱走 猫探偵選び

この記事の結論

脱走直後の猫は警戒心が強く、多くは体を隠せる「通り道」を選んで移動します。手当たり次第に歩き回っても見つかりません。

そして京都には、猫にとって極端に有利な事情があります。大規模な空襲を免れたため、古い町割りと町家がそのまま残っていることです。碁盤の目の大通りのあいだに、地図に載らない路地(ろーじ)と辻子(ずし)が網の目のように走っています。

探す順番は、①家の中 → ②自宅の敷地内 → ③半径50m以内 → ④猫が体を隠して移動できる線です。

最優先は、猫を「逃がさないこと」ではありません。「そこにいた」という事実を集めることです。逃げられても失敗ではありません。見つけたことが成果です。

この記事は、飼い主様ご自身で探していただくためのものです。

1|まず、家の中を探してください

外へ出たと思い込んで探し始める前に、家の中を徹底的に確認してください。実際には家の中にいた、というケースは珍しくありません。

猫が家の中で身を隠す場所は、飼い主様が「まさか」と思う場所です。

  • ベッドの下、ソファの下、ソファの内部(布地の破れから中に入り込みます)
  • 洗濯機・冷蔵庫の裏、その上の隙間
  • 押し入れ、クローゼットの奥、収納ケースの裏
  • 本棚や食器棚の裏の細い隙間
  • 天井裏、床下収納、階段下の物入れ
  • タンスの引き出しの裏側(引き出しを抜くと空間があります)
  • 浴室・洗面台の下の配管スペース
京町家にお住まいなら、確認する場所がもっとあります。

京町家は「うなぎの寝床」と呼ばれる、間口が狭く奥行きの長い造りです。玄関から奥へ通り庭(走り庭)が伸び、途中に坪庭、いちばん奥に奥庭。台所の上には火袋という吹き抜けがあります。

  • 通り庭・走り庭の物陰、竈まわり、水回りの下
  • 坪庭・奥庭の植え込み、灯籠の陰、蹲の裏
  • 火袋の梁の上(猫は高いところへ上がります)
  • 厨子二階(つしにかい)の低い天井裏
  • 蔵・納戸・離れの奥
  • 縁の下(古い建物ほど広く、奥が続いています)
  • 犬矢来(いぬやらい)の内側——表からは見えない細い空間です

名前を呼んでください。ただし「呼び方」が重要です

「猫の名前を呼んではいけない」という説をよく見かけます。キャットワンは、この一律の禁止は危険だと考えています。

猫が飼い主の声を聞き分けられることは、実験で示されています(Saito & Shinozuka 2013)。また、猫が日常の中で音声を手がかりとして扱っている可能性も、京都大学と麻布大学の共同研究チームによって報告されています(Takagi ら 2022)。声は、猫にとって意味のある情報です。

実際に、捜査員がどれだけ探しても見つからなかった猫が、飼い主様が一緒に歩いて声をかけたときに鳴いて返事をした——そうして発見に至ったケースが、キャットワンには何件もあります。

呼びかけは「説得して出てこさせる」ためのものではありません。
反応・位置・方向という情報を増やすための手段です。

こう呼んでください

いつもの呼び名で、いつものトーンで、短く。反応があったら、そこで追わずに場所と方向を記録します。

避けるのはこれです

必死な声、怒鳴り声、叱るような声。「呼ぶな」ではなく、ふだんと違う声を出さないことが正確です。

あわせて有効なのがです。部屋を暗くして静かにしたうえで、いつも使っているフードの袋を振る、缶を開ける、おやつの音を出す。声と音、両方を使ってください。

それでも見つからないときは、脱走の出口を確認してください。窓の網戸、玄関、ベランダ、換気扇、猫が押し開けられる引き戸。どこから出たかが分かると、最初に向かった方向の見当がつきます。

2|京都は「碁盤の目」ではありません。猫にとっては網の目です

京都は碁盤の目の街だから、探しやすい——そう思われがちです。実際は逆です。

京都市街は、第二次世界大戦の大規模な空襲を免れました。そのため、明治以前からの町割りと町家が、いまも広い範囲でそのまま残っています。建て替えが一気に進んだ街とは、構造がまったく違います。

碁盤の目は「人の地図」です。
猫が使っているのは、その内側に走る「路地の網」です。

大通りと大通りのあいだ——ひとつの「町」の内側には、地図に載らない細い道が無数にあります。京都では、それぞれに呼び名があります。

京都での呼び名どんな道か猫にとっての意味
路地(ろーじ) 表通りから町家のあいだへ入る、行き止まりの細い道 人も車も入ってこない。最も安心できる空間のひとつ
辻子・図子(ずし) 通りと通りをつなぐ、抜けられる細い道 大通りを渡らずに、隣の町へ移動できる抜け道になります
犬矢来の内側 町家の前に立つ、竹製の湾曲した囲いの裏 幅は10〜20cm。表からはまったく見えません
路地奥の共同スペース 井戸跡、物置、自転車置き場、ゴミ置き場 雨風をしのげて、人の出入りが限られています

猫は単独で生きる動物です。群れで守り合うことができません。そして体が小さい。自分より大きな生き物に出会えば、それで終わりです。だから脱走直後の猫は警戒心が強く、多くはこういう場所を選んで移動します。

  • 自分より大きな生き物が通れない道
  • 体を隠したまま進める道
人が「道」だと思っている場所を、猫はあまり使いません。

京都の路地と辻子は、この条件をそのまま満たしています。だから京都で猫を探すときは、四条通や烏丸通を歩いても意味がありません。その内側へ、一本入ってください。

そして辻子をたどった先に、猫が留まっている場所があることが多くあります。私たちはそこを「滞留地域」と呼んでいます。

探すときは、猫を探すことから始めません。通り道を探すことから始めます。

3|猫が帰ってこないとき、どこを探せばいいですか

脱走直後の猫は、驚いて近くに潜んでいます。まず自宅から半径50m以内を、しらみつぶしに確認してください。

確認する場所のリスト(京都版)

場所見るポイント
路地(ろーじ)の奥行き止まりの細い道。人も車も来ません。最優先で見てください
辻子(ずし)の途中通りと通りをつなぐ抜け道。ここが移動線になります
犬矢来の内側幅10〜20cm。しゃがんで、横から覗かないと見えません
縁の下・床下戦災を免れた古い家屋ほど、床下が広く奥まで続いています
通り庭・坪庭・奥庭京町家特有の構造。道路からは中がまったく見えません
蔵・納戸・離れ人の出入りが少なく、中が入り組んでいます
寺社の境内・墓地・鎮守の森市内に無数にあります。植栽と石積みの隙間が多く、京都では有力な潜伏先です
石段・石垣の隙間
(東山区・清水・八坂・産寧坂周辺)
坂の街特有。段差の裏に空間があります
室外機の裏・下暖かく、三方が囲まれている。定番の場所です
駐車場の車の下タイヤの上、エンジンルームの中に入り込むこともあります
生垣・植え込みの中外から見えません。地面の高さで覗いてください
側溝・排水設備入口が小さくても、地下で先まで続いています
空き家・空き町家人の出入りがなく、静かに身を隠せます。所有者・管理者の確認が必要です

探すときの姿勢と、懐中電灯の使い方

立ったまま見ても、猫は見つかりません。しゃがんで、猫の目線の高さから覗いてください。京都の路地では、これが決定的です。犬矢来の裏も、石垣の隙間も、立っていると存在すら見えません。

懐中電灯は使ってください。「夜に照らすのはNG」という説がありますが、キャットワンはそうは考えていません。猫の目にはタペタム・ルシダム(反射層)があり、光を当てると目が反射して光ります。姿は見えなくても、目だけは見つかります。

光を絞ると、細く遠くまで届きます。京都の細長い路地は、まさにこの使い方に向いています。入口から一本の光を通せば、奥まで届きます。目が光れば、そこから体の形をたどれます。

ライトは、猫を追い込む道具ではありません。
見落としを減らすための道具です。

避けるべきなのはライトそのものではなく、追い込むように照らし続けること、目に直射し続けることです。ゆっくり走査して、「いた」を拾ってください。

見つけたら、追わずに「記録」してください

猫は、人が近づけば簡単に逃げて隠れられます。だから捜索中に逃げられること自体は、避けようがありません。逃げられた=失敗ではありません。見つけた=成功です。

大切なのは、その一瞬で何を持ち帰れるかです。次の5つを、その場でメモしてください。

  • どこに「いた」か(何通と何通のあいだの、どの路地か)
  • 何時に「出た」
  • どの方向へ「逃げた」か(逃走導線)
  • どの遮蔽物を使ったか(犬矢来/車の下/塀際/植え込み/縁の下の入口など)
  • 餌の減り、足跡、カメラ映像などの滞在痕跡

この「いた」「ここから逃げた」が取れれば、翌日のカメラ設置、捕獲器の位置、導線の読みの精度が一気に上がります。

なお、素手で捕まえようとするのは避けてください。パニックになった猫は噛みます。そして一度そこで強い恐怖を与えると、次からその場所に戻らなくなります。

4|脱走猫は何日で帰ってきますか

可能性がいちばん高いのは、脱走直後から数日のあいだです。ただし「何日で帰る」という一般的な答えはありません。猫の性格、外に出た経験、周囲の環境で大きく変わります。

お伝えできるのは、日数が経つほど「帰ってくる」ことは期待できなくなるということです。

理由があります。イエネコは、犬や牛のように人が作り変えた動物ではありません。野生の性質をほぼ保ったまま、人のそばに住むようになった動物です(Driscoll ら 2009)。餌が十分に与えられていても、狩猟なわばりを巡回し守ろうとする習性が持続することが知られています(Bradshaw 2018)。

家の中では、その野生の側は表に出ません。けれど外に出て日が経つほど、猫は人の気配に反応しなくなっていきます。

「そのうち帰ってくるだろう」と待っているあいだに、
いちばん見つけやすい時期が過ぎていきます。

日が経っていても、諦めないでください

一方で、猫の生命力は飼い主様が思うより強いものです。

イエネコの祖先は、中東の乾燥地帯で暮らしていたリビアヤマネコだとされています(Driscoll ら 2007)。もともと水の乏しい環境で生き延びるようにできた動物です。濃い尿を作って水分を保つ能力が高く、食物中の水分だけで水分要求を満たしうることが示されています(Prentiss ら 1959)。

キャットワンでは、飲まず食わずの状態で14日が経過した猫を保護したことがあります。また、脱走から約1か月が経過していた案件で、捜索2日目に保護できたこともあります。

ただし、生きていることと、無事であることは別です。食べていない状態が続くと、肝臓に脂肪が蓄積する病気(肝リピドーシス)など、体調を崩す危険が高まります(Armstrong & Blanchard 2009)。保護できたあとは、見た目に元気でも必ず動物病院で診てもらってください。

5|猫が脱走したら、どの時間帯に探しますか

夜間から早朝が有効です。理由は3つあります。

① 人と車が減るから

猫は人の気配を避けて潜みます。日中は動きません。人通りと交通量が減った時間帯に、はじめて移動を始めます。祇園・清水・嵐山など観光客の多い地域では、昼と夜の差がとくに大きくなります。

② 猫がもともと薄明薄暮に活動する動物だから

夜明け前と日没後が、猫の本来の活動時間です。日中に探し回るより、この時間帯のほうが動きを確認できます。

③ 静かだから、音と声が届くから

フードの袋の音、缶を開ける音、いつもの呼び方。周囲が静まっている時間なら、遠くまで届きます。そして、ライトでアイシャインを拾えるのも夜間だけです。

ただし、夜間に懐中電灯を持って路地を歩くと、不審に思われます。京都の路地は近隣で共有している空間です。人の出入りに敏感ですし、町内のつながりも濃い。近隣の方への一声かけを忘れないでください。可能であれば、あらかじめ町内会長様にお話ししておくと安心です。

6|京都の街を、猫の目で読む

「猫は自宅から半径◯mの範囲にいる」——よく言われることですが、これは猫の性質だけで決まるものではありません。

猫が円を描くように動くのは、行き止まりに突き当たるからです。
通りが空いていれば、遠くまでまっすぐ進むことがあります。

南北の大通りが、東西の壁になります

京都市街を南北に貫く大通り——千本通、堀川通、烏丸通、河原町通、東大路通、西大路通、大宮通。これらは車の量が多く、道幅もあります。

脱走直後の猫が、これらを越えることはまれです。ですから最初にすべきなのは、「猫は、どの通りとどの通りのあいだにいるのか」を確定させることです。

たとえば烏丸通と堀川通のあいだにいると分かれば、東西の範囲はそれで決まります。あとはその内側の路地と辻子を、南北にたどるだけです。

※千本通は、平安京の朱雀大路にあたる通りです。京都の南北の骨格は、1200年前の設計がそのまま残っています。

東西の大通りが、南北の壁になります

同じことが東西にも言えます。北大路通、今出川通、丸太町通、御池通、四条通、五条通、七条通、九条通。これらが南北方向の境界になります。

南北の大通りと東西の大通りで囲まれた一区画——それが「町」です。京都の猫は、まずこの一つの町の中を動きます。

川と疏水は、南北に長い移動線になります

一方で、猫が長い距離を移動できる線もあります。京都では、水辺がそれにあたります。

水辺猫にとっての意味
鴨川河川敷、護岸の石積み、橋のたもと。南北にどこまでも続く帯です
高瀬川(木屋町通沿い)浅く、両岸に建物が迫る。身を隠したまま南北へ動けます
堀川遊歩道と護岸。堀川通の車を避けながら南北へ移動できます
白川(東山区・左京区)民家のあいだを縫って流れます。護岸と植栽が連続しています
琵琶湖疏水・哲学の道(左京区)水路沿いに植栽が続き、山際へつながります
西高瀬川(右京区・中京区)市街西部を東西に走る移動線になります
大通りで囲まれた「町」の中は、円で探します。
川沿いへ出てしまったら、線で探します。

区によって、街の性質が変わります

地域街の性質探し方
上京区・中京区・下京区 町家と路地・辻子が最も密集。行き止まりが多く、猫は近くに留まりやすい 範囲を広げるより、同じ町内を何度も。犬矢来・縁の下・坪庭を優先
東山区 坂、石段、石垣、寺社の境内。高低差で視界が切れる 段差の裏、石垣の隙間、境内の植栽。上下方向も探す
北区・左京区 船岡山、鷹峯、大文字山、岩倉・大原へ続く山際。市街地のすぐ裏が山 住宅地と山をつなぐ地点(水路・畦・擁壁の切れ目)を早い段階で押さえる
右京区・西京区 太秦・嵯峨野の竹林と農地、桂川。市街と自然が近接 竹林と農地の境、川沿いを線でたどる
山科区 四方を山に囲まれた盆地。市街地から山際が近い 盆地の縁(山との境界)を先に押さえる
伏見区 酒蔵の並ぶ旧市街、濠川・宇治川、広い工場敷地 蔵と蔵のあいだ、水路沿い、夜間無人になる敷地
南区 工場・倉庫・物流施設の広い敷地、東寺周辺 フェンス際、資材置き場、夜間・休日の無人時間帯に確認

なお、「大きな道路や川は猫が越えない」という一般論も、絶対ではありません。実際に、川と国道の両方を越えていたケースがありました。越えていないと決めつけて範囲を切らないでください。

7|避けたほうがよいこと

やってしまいがちなことなぜ避けたほうがよいか
必死な声・怒鳴り声・叱るような声で呼ぶ呼ぶこと自体は有効です。避けたいのはふだんと違う声。いつもの呼び名を、いつものトーンで、短く
光で追い込む・目に直射し続けるライトは見落としを減らす道具です。追い立てる使い方をすると、猫を遠ざけます
見つけて追いかける追っても捕まりません。その場で位置・時刻・逃げた方向を記録するほうが、次につながります
素手で捕まえようとする噛まれる危険があり、強い恐怖を与えるとその場所に戻らなくなります
大通りばかりを歩いて探す猫は大通りを使いません。一本内側の路地・辻子へ入ってください
広範囲に無断で餌を置く地域によっては野良猫への餌やりと受け取られ、トラブルになります
他人の路地奥や寺社の境内に無断で入る京都の路地は住民の生活空間です。猫が潜んでいる可能性が高い場所ほど、必ずひと声かけてから
電柱や街路樹にチラシを貼る屋外広告物条例で禁止されています。撤去されるので数日で消えます

8|京都での警察・行政への届出は、早いほど有利です

猫は民法上「物」として扱われ、飼い主様の意思によらず所持を離れた猫は、遺失物法上の「遺失物」にあたります。保護した方が警察へ届け出ている可能性があります。

警察では「遺失届を出したい」と伝えてください

「警察に行ったけれど、対応してもらえなかった」というお話をよく伺います。理由があります。

警察には動物を飼育する施設がありません。拾得された犬猫は、拾得者が動物愛護管理法第35条第3項による引取りを求めた場合、遺失物法の返還・提出義務の規定が適用されず、都道府県等へ引き渡される扱いになります(遺失物法第4条第3項)。だから「当署では扱えません」と言われます。

また、警察は捜索機関ではないため、探してほしいという依頼には応じられません。しかし遺失届の受理は警察の業務です。

「猫を探してください」ではなく
「飼い猫がいなくなったので、遺失届を出したいです」

窓口は会計課(落とし物係)で、最寄りの交番でも受け付けてもらえます。環境省と警察庁の連名通知では、警察が「遺失届一覧簿における該当する遺失届に係る記載の有無を確認する」こととされており、動物を受け付けたときと遺失届を受理したときの両方の段階で照合が行われます(環自総発第1401141号)。

キャットワンの実務でも、交番へ届けていた情報がきっかけで、2件のご帰宅につながっています。

京都市内は「京都動物愛護センター」へ

京都動物愛護センター

〒601-8103 京都市南区上鳥羽仏現寺町11番地
電話 075-671-0336
開所時間 9時00分〜17時00分(休所日:木曜日・年末年始)

京都府と京都市が共同で設置している施設です。京都市域は、この京都動物愛護センターと医療衛生センターが窓口になります。医療衛生センターで受け付けた情報も、京都動物愛護センターに集約されます。

京都市以外の京都府内(宇治市・亀岡市・長岡京市・向日市・城陽市・福知山市など)は、
お住まいの地域を担当する京都府の各保健所が窓口です。

いなくなった場所と日時、猫の毛色・体格・特徴、飼い主様のお名前とご連絡先を伝えてください。警察と行政の両方に届けておかないと、情報がつながりません。片方だけでは見落とします。

※連絡先は京都動物愛護センターの公表情報にもとづいて記載しています(2026年8月時点)。お出かけになる前に、開所日と受付時間をご確認ください。

9|どこまで自分で探し、どこから依頼するか

ここまで書いてきたことは、すべて飼い主様ご自身でできることです。それどころか、飼い主様にしかできないことがあります。猫が反応するのは、飼い主様の声だからです。

そのうえで、正直に申し上げます。飼い主様には、立場の上でどうしてもできないこともあります。

路地の奥まで、必要なだけ回れない

京都でいちばん猫がいるのは、路地の奥です。そしてそこは、その路地に暮らす方々の生活空間でもあります。ふだんお付き合いのない家、町内が違う区画、以前から気まずさのある相手——訪ねにくい場所ほど、猫はそこにいます。第三者である私たちは、猫の動線から必要な範囲を回れます。

機材がない

町家の縁の下や側溝の奥は、ファイバースコープカメラでなければ確認できません。夜間の通り道は、赤外線・センサーカメラで押さえます。通常の罠に入らない警戒心の強い猫には、専用のドロップ式捕獲器を使います。

探し続けられない

仕事があり、生活があります。眠らずに探し続けることはできません。そして日数が経つほど、猫は見つけにくくなっていきます。

迷われている場合でも、ご相談だけなら費用はかかりません。状況を伺って、いま何をすべきかをお伝えします。

脱走直後は、時間が重要です。
まずは現在の状況を、専属の捜査員へお聞かせください。

ペット探偵キャットワン|京都・大阪・滋賀の脱走猫・迷子猫の捜索専門
※ご依頼場所、交通状況、捜査員の稼働状況により、対応できない場合があります。

参考文献

この記事で述べた猫の行動・生理に関する内容は、次の研究にもとづいています。

  1. Saito A, Shinozuka K. Vocal recognition of owners by domestic cats (Felis catus). Animal Cognition. 2013;16(4):685–690. doi:10.1007/s10071-013-0620-4
  2. Takagi S, Saito A, Arahori M, et al. Cats learn the names of their friend cats in their daily lives. Scientific Reports. 2022;12:6155.
    京都大学大学院文学研究科・麻布大学 ほかの共同研究 doi:10.1038/s41598-022-10261-5
  3. Driscoll CA, Menotti-Raymond M, Roca AL, et al. The Near Eastern Origin of Cat Domestication. Science. 2007;317(5837):519–523. doi:10.1126/science.1139518
  4. Driscoll CA, Macdonald DW, O’Brien SJ. From wild animals to domestic pets, an evolutionary view of domestication. PNAS. 2009;106(Suppl 1):9971–9978. doi:10.1073/pnas.0901586106
  5. Bradshaw JWS. Normal feline behaviour: … and why problem behaviours develop. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2018;20(5):411–421. doi:10.1177/1098612X18771203
  6. Crowell-Davis SL, Curtis TM, Knowles RJ. Social organization in the cat: a modern understanding. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2004;6(1):19–28. doi:10.1016/j.jfms.2003.09.013
  7. Prentiss PG, Wolf AV, Eddy HA. Hydropenia in cat and dog: ability of the cat to meet its water requirements solely from a diet of fish or meat. American Journal of Physiology. 1959;196(3):625–632. doi:10.1152/ajplegacy.1959.196.3.625
  8. Armstrong PJ, Blanchard G. Hepatic Lipidosis in Cats. Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice. 2009;39(3):599–616. doi:10.1016/j.cvsm.2009.03.003

※上記は猫という動物一般の性質に関する研究です。実際の行動や生存できる日数は、個体の年齢・性格・健康状態・気温・水の有無・怪我の有無などによって大きく変わります。特定の猫について結果を保証するものではありません。

京都で猫を迷子にした方へ|プロが教える迷子猫の探し方

この記事の結論

脱走直後の猫は警戒心が強く、多くは体を隠せる「通り道」を選んで移動します。手当たり次第に歩き回っても、見つからないことがあります。

探す順番は、①家の中 → ②自宅の敷地内 → ③自宅周辺 → ④猫が体を隠して移動できる線です。

そして京都には、猫にとって有利な事情があります。大規模な空襲を免れたため、古い町割りと町家がそのまま残っていることです。碁盤の目の大通りの内側に、地図に載らない路地(ろーじ)と辻子(ずし)が網の目のように走っています。

最優先は、猫を「追いかけること」ではありません。「そこにいた」という事実を集めることです。逃げられても失敗ではありません。見つけたことが成果です。

この記事は、飼い主様ご自身で探していただくためのものです。

1|まず、家の中を探してください

外へ出たと思い込んで探し始める前に、家の中を徹底的に確認してください。実際には家の中にいた、というケースは珍しくありません。

猫が家の中で身を隠す場所は、飼い主様が「まさか」と思う場所です。

  • ベッドの下、ソファの下、ソファの内部(布地の破れから中に入り込みます)
  • 洗濯機・冷蔵庫の裏、その上の隙間
  • 押し入れ、クローゼットの奥、収納ケースの裏
  • 本棚や食器棚の裏の細い隙間
  • 天井裏、床下収納、階段下の物入れ
  • タンスの引き出しの裏側(引き出しを抜くと空間があります)
  • 浴室・洗面台の下の配管スペース
京町家にお住まいなら、確認する場所がもっとあります。

京町家は「うなぎの寝床」と呼ばれる、間口が狭く奥行きの長い造りです。玄関から奥へ通り庭(走り庭)が伸び、途中に坪庭、いちばん奥に奥庭。台所の上には火袋という吹き抜けがあります。

  • 通り庭・走り庭の物陰、水回りの下
  • 坪庭・奥庭の植え込み、灯籠の陰、蹲の裏
  • 火袋の梁の上(猫は高いところへ上がります)
  • 厨子二階(つしにかい)の低い天井裏
  • 蔵・納戸・離れの奥
  • 縁の下(古い建物ほど広く、奥が続いています)
  • 犬矢来(いぬやらい)の内側——表からは見えない細い空間です

名前を呼ぶことにも「タイミング」があります

迷子猫を探すとき、「名前を呼びながら探す」という方法があります。一方で「名前を呼んではいけない」という説も見かけます。

キャットワンは、どちらの断定も適切ではないと考えています。

脱走直後の猫は、強い警戒状態に入っていることがあります。その状態では、飼い主様の声が聞こえていても反応しないことがあります。

一方で、猫の警戒が少し緩んできたタイミングでは、飼い主様の声や、いつも呼ばれている名前が、安心するきっかけになることがあります。

重要なのは「名前を呼ぶか、呼ばないか」ではありません。
「いつ呼ぶか」です。

猫が飼い主の声を聞き分けられることは、実験で示されています(Saito & Shinozuka 2013)。また、猫が日常生活の中で音声を手がかりとして扱っている可能性も、京都大学と麻布大学などの共同研究チームによって報告されています(Takagi ら 2022)。声は、猫にとって意味のある情報です。

実際に、捜査員がどれだけ探しても見つからなかった猫が、飼い主様が一緒に歩いて声をかけたときに鳴いて返事をした——そうして発見に至ったケースが、キャットワンには何件もあります。

呼ぶなら、こう呼んでください

いつもの呼び名で、いつものトーンで、短く。反応があったら、そこで追わずに場所と方向を記録します。

避けたいのはこれです

必死な声、怒鳴り声、叱るような声。「呼ぶな」ではなく、ふだんと違う声を出さないことが正確です。

あわせて有効なのがです。部屋を暗くして静かにしたうえで、いつも使っているフードの袋を振る、缶を開ける、おやつの音を出す。声と音、両方を使ってください。

それでも見つからないときは、脱走の出口を確認してください。窓の網戸、玄関、ベランダ、換気扇、猫が押し開けられる引き戸。どこから出たかが分かると、最初に向かった方向の見当がつきます。

2|京都は「碁盤の目」ではありません。猫にとっては網の目です

京都は碁盤の目の街だから探しやすい——そう思われがちです。実際は逆です。

京都市街は、第二次世界大戦の大規模な空襲を免れました。そのため、明治以前からの町割りと町家が、いまも広い範囲でそのまま残っています。建て替えが一気に進んだ街とは、構造がまったく違います。

碁盤の目は「人の地図」です。
猫が使っているのは、その内側に走る「路地の網」です。

大通りと大通りのあいだ——ひとつの「町」の内側には、地図に載らない細い道が無数にあります。京都では、それぞれに呼び名があります。

京都での呼び名どんな道か猫にとっての意味
路地(ろーじ) 表通りから町家のあいだへ入る、行き止まりの細い道 人も車も入ってこない。最も落ち着ける空間のひとつです
辻子・図子(ずし) 通りと通りをつなぐ、抜けられる細い道 大通りを渡らずに、隣の町へ移動できる抜け道になります
犬矢来の内側 町家の前に立つ、竹製の湾曲した囲いの裏 幅は10〜20cm。表からはまったく見えません
路地奥の共同スペース 井戸跡、物置、自転車置き場、ゴミ置き場 雨風をしのげて、人の出入りが限られています

猫は、群れをつくる犬とは社会構造が異なり、単独でも生きられる動物です(Crowell-Davis ら 2004)。そして体が小さい。だから危険を感じると、自分より大きな生き物から身を隠せる場所を選んで移動することがあります。

脱走直後の猫はとくに警戒心が強いため、次のような場所を利用することがあります。

  • 自分より大きな生き物が通れない道
  • 体を隠したまま進める道
人が「道」だと思っている場所を、猫が同じように使うとは限りません。

塀と塀のすきま。駐車場の車の下を伝う線。生垣の内側。側溝。京都なら、町家と町家のあいだの路地、袋小路の奥、通り庭から奥庭へ抜ける線、駐車場と町家の境の段差。

人間には別々の敷地に見えても、猫にとっては、塀際・建物の隙間・庭・駐車場・路地をつないだ一続きの移動経路になっていることがあります。

その線をたどった先に、猫が留まっている場所があることがあります。だから探すときは、猫を探すことから始めません。通り道を探すことから始めます。

3|猫が帰ってこないとき、どこを探せばいいですか

脱走直後の猫は、驚いて近くに潜んでいることがあります。まず自宅周辺を、しらみつぶしに確認してください。

ただし京都では、「自宅から何m」という距離だけで考えないでください。

京都の市街地には、昔ながらの街区と細い路地が残り、そこへ建て替えられた住宅や宿泊施設が入り込んでいます。住宅地のすぐ隣に商店街、寺社、墓地、川、山際があることも珍しくありません。

同じ50mでも、猫が隠れられる場所がほとんどない街と、
無数にある街とでは、捜索の難しさがまったく違います。

確認する場所のリスト(京都版)

場所見るポイント
路地(ろーじ)の奥行き止まりの細い道。人も車も来ません。最優先で見てください
辻子(ずし)の途中通りと通りをつなぐ抜け道。ここが移動線になります
犬矢来の内側幅10〜20cm。しゃがんで、横から覗かないと見えません
縁の下・床下入口から見えなくても、奥に空間が続いていることがあります。古い家屋ほど広い
通り庭・坪庭・奥庭京町家特有の構造。道路からは中が見えないことがあります
蔵・納戸・離れ人の出入りが少なく、中が入り組んでいます
商店街・店舗の裏側物置、倉庫、勝手口、細い通路。京都の商店街は細長く、裏が連続しています
寺社の境内・墓地・霊園静かで人目につきにくく、植栽と石積みの隙間が多い。京都では重要な確認場所です
石段・石垣の隙間東山区など坂の多い地域。段差の裏に空間があります
室外機の裏・下暖かく、周囲を囲まれているため身を隠しやすい場所です
駐車場の車の下タイヤの上、エンジンルームの中に入り込むこともあります
生垣・植え込みの中外から見えません。地面の高さから確認してください
側溝・排水設備入口が小さくても、奥へ続いている場合があります
空き家・空き町家人の出入りが少なく、潜伏場所になることがあります。所有者・管理者への確認が必要です

探すときは、しゃがんでください

立ったまま見ても、猫は見つかりません。しゃがんで、猫の目線の高さから覗いてください。京都の路地では、これが決定的です。犬矢来の裏も、石垣の隙間も、立っていると存在すら見えません。

夜間の捜索では、懐中電灯は必須です

夜の捜索で、懐中電灯は必要です。暗闇では、猫がどこに潜んでいるか確認できません。

猫の目にはタペタム・ルシダム(反射層)があり、光を当てると目が反射して光ります。姿は見えなくても、目だけは見つかることがあります。光を絞れば細く遠くまで届くので、京都の細長い路地には、この使い方が向いています。

まず「猫がいる場所」を見つけること。
これが夜間捜索の第一歩です。

ただし、猫を発見したあとの対応は、すべてのケースで同じではありません。光を当て続けるべきか、いったん消すべきか。声をかけるべきか、待つべきか。それは猫の状態によって変わります。

見つけたら、まず「捕まえる」ではなく「観察する」

猫は、見つかったことに気づくと、その後の人の動きに反応します。何も考えずに近づいたり、大きな声で呼び続けたりすると、その場から動いてしまうことがあります。

まず見るのは、猫の姿勢、表情、視線、身体の緊張です。いまどの程度警戒しているのか。すぐに動く状態なのか、少し落ち着いているのか。

そのうえで、警戒が緩んだタイミングを見極め、飼い主様にいつもの声で呼びかけていただきます。

「発見」と「保護」は、別の技術です。見つけたあとの判断を誤ると、再び見失うことがあります。

4|見つけたら、追わずに「記録」してください

猫は、人が近づけば簡単に逃げて隠れられます。だから捜索中に逃げられること自体は、避けられない場合があります。

逃げられた=失敗ではありません。
見つけた=成功です。

大切なのは、その瞬間に何を持ち帰れるかです。次の5つを、その場で記録してください。

  • どこに「いた」か(何通と何通のあいだの、どの路地か)
  • 何時に「出た」
  • どの方向へ「移動した」
  • どのような場所を利用したか(犬矢来/車の下/塀際/植え込み/縁の下の入口など)
  • 餌の減り、足跡、カメラ映像などの滞在痕跡

この「いた」「ここから移動した」が取れれば、翌日のカメラ設置、捕獲器の位置、導線の読みの精度が上がります。

なお、素手で捕まえようとするのは避けてください。パニックになった猫は噛みます。そして一度そこで強い恐怖を与えると、次からその場所に戻らなくなることがあります。

5|脱走猫は何日で帰ってきますか

可能性がいちばん高いのは、脱走直後から数日のあいだです。ただし「何日で帰る」という一般的な答えはありません。猫の性格、外に出た経験、周囲の環境で大きく変わります。

お伝えできるのは、日数が経つほど「帰ってくる」ことは期待できなくなるということです。

理由があります。イエネコは、犬や牛のように人が作り変えた動物ではありません。野生の性質をほぼ保ったまま、人のそばに住むようになった動物です(Driscoll ら 2009)。餌が十分に与えられていても、狩猟なわばりを巡回し守ろうとする習性が持続することが知られています(Bradshaw 2018)。

家の中では、その野生の側は表に出ません。けれど外に出て日が経つほど、猫は人の気配に反応しなくなっていきます。

「そのうち帰ってくるだろう」と待っているあいだに、
いちばん見つけやすい時期が過ぎていきます。

日が経っていても、諦めないでください

一方で、猫の生命力は飼い主様が思うより強いものです。

イエネコの祖先は、中東の乾燥地帯で暮らしていたリビアヤマネコだとされています(Driscoll ら 2007)。もともと水の乏しい環境で生き延びるようにできた動物です。濃い尿を作って水分を保つ能力が高く、食物中の水分だけで水分要求を満たしうることが示されています(Prentiss ら 1959)。

キャットワンでは、飲まず食わずの状態で14日が経過した猫を保護したことがあります。また、脱走から約1か月が経過していた案件で、捜索2日目に保護できたこともあります。

ただし、生きていることと、無事であることは別です。食べていない状態が続くと、肝臓に脂肪が蓄積する病気(肝リピドーシス)など、体調を崩す危険が高まります(Armstrong & Blanchard 2009)。保護できたあとは、見た目に元気でも必ず動物病院で診てもらってください。

6|「自力帰宅率」「発見率」「保護率」は、別のものです

迷子猫について調べると、いろいろな割合が出てきます。ですが、これらは分母がまったく違います。混ぜて読むと、実態を見誤ります。

言葉何を数えているか分母は
自力帰宅率 猫が自分で帰ってきた割合 脱走した猫すべて
発見率 探した結果、見つかった割合(自力帰宅・人が発見の両方を含む) 脱走した猫すべて
保護率 捜索業者がお引き受けした案件のうち、保護に至った割合 その業者が受任した件数のみ
「保護率◯%」は、業者に依頼した人の中での割合です。
ご自身で探している飼い主様に、そのまま当てはまる数字ではありません。

自力帰宅率については、信頼できる統計を見つけられていません

正直に申し上げます。「猫が自力で帰ってくる確率」を直接示した統計を、私たちは見つけられていません。根拠のない数字を、この記事に載せることはしません。

発見については、研究があります

迷子になった猫が、どこで、どのくらいの期間で見つかったかを調べた研究があります。迷子猫1,210匹を対象にしたものです(Huang ら 2018)。

調べた内容結果
1年以内に見つかった割合
(生死を問わず、あらゆる形での発見)
61%
飼い主が7日以内に、生きた状態で見つけた割合34%
見つかるまでの日数中央値6日(25〜75パーセンタイルで2〜21日)
脱走地点からの距離中央値50m(25〜75パーセンタイルで9〜500m)
500m以内で見つかった割合75%

※61%は「見つかった」割合であり、「無事に帰ってきた」割合ではありません。この2つを混同しないでください。

1年たっても見つかっていない猫が、4割近くいます。一方で、見つかった猫の多くは、ごく近くにいました。中央値50m、75%が500m以内。京都で言えば、通り一本ぶんの内側です。

近くを、早く。
研究の数字が示しているのは、この2つです。

※この研究は海外の調査であり、日本の住宅事情や飼育環境とは条件が異なります。数値をそのまま日本に当てはめることはできませんが、「近い」「早い」という方向は変わらないと考えています。

数字を見るときは、何を数えた数字か・分母・期間・対象範囲の4つが書いてあるかを確認してください。これは他社に限った話ではありません。キャットワンの数字を見るときも、同じように確認してください。

7|京都の街を、猫の目で読む

「猫は自宅から半径◯mの範囲にいる」——よく言われることですが、これは猫の性質だけで決まるものではありません。

猫の行動範囲には、街の構造が大きく影響します。

南北の大通りが、東西の壁になります

京都市街を南北に貫く大通り——千本通、堀川通、烏丸通、河原町通、川端通、東大路通、西大路通、大宮通。これらは車の量が多く、道幅もあります。

脱走直後の猫が、これらを越えることはまれです。ですから最初にすべきなのは、「猫は、どの通りとどの通りのあいだにいるのか」を確定させることです。

※千本通は、平安京の朱雀大路にあたる通りです。京都の南北の骨格は、1200年前の設計が残っています。

東西の大通りが、南北の壁になります

同じことが東西にも言えます。北大路通、今出川通、丸太町通、御池通、四条通、五条通、七条通、九条通。これらが南北方向の境界になります。

南北の大通りと東西の大通りで囲まれた一区画——それが「町」です。京都の猫は、まずこの一つの町の中を動きます。

川と疏水は、長い移動線になります

水辺猫にとっての意味
鴨川・高野川河川敷、護岸の石積み、橋のたもと。南北にどこまでも続く帯です
高瀬川(木屋町通沿い)浅く、両岸に建物が迫る。身を隠したまま南北へ動けます
堀川遊歩道と護岸。堀川通の車を避けながら南北へ移動できます
白川(東山区・左京区)民家のあいだを縫って流れます。護岸と植栽が連続しています
琵琶湖疏水・哲学の道(左京区)水路沿いに植栽が続き、山際へつながります
西高瀬川(右京区・中京区)市街西部の移動線になります

商店街・寺社・墓地も、捜索範囲に入れます

京都には、各地域に細長い商店街があり、その周辺を中心に街が発達しています。昔ながらの小売店も多く、住宅と商業地が明確に分かれていない地域があります。店舗裏の物置、倉庫、勝手口、細い通路が、そのまま移動経路になります。

そして、人々の暮らしのすぐ隣に寺社仏閣、墓地、霊園があることも、京都の大きな特徴です。静かで、人の出入りが少なく、植栽と石積みの隙間が多い。警戒している猫が身を隠す条件が、そろっています。

猫は、住宅地から塀際や路地を伝って、近くの寺社や墓地へ入り込む可能性があります。「住宅街を探したから大丈夫」とは限りません。

ただし、他人の敷地や寺社の境内には無断で立ち入らず、必ず管理者や関係者に事情を説明してから確認してください。

高い塀と、複雑な敷地境界

京都の市街地では、隣接する住宅がひしめき合い、高い塀が設けられているところがあります。玄関が道路側ではなく、建物の奥や裏側にある住宅もあります。塀の上に忍び返しが立っている場所もあります。

そのため、道路からは敷地の奥がまったく見えません。

人間には明確な敷地境界でも、猫にとっては移動経路の一部です。
逆に、人が通れないように見える場所でも、猫は小さな隙間を使います。

だから京都での捜索は、地図上の道路だけを見ても足りません。実際の塀、柵、建物、隙間、庭、駐車場まで、現地で確認する必要があります。

区によって、街の性質が変わります

地域街の性質探し方
上京区・中京区・下京区 町家と路地・辻子が最も密集。行き止まりが多く、猫は近くに留まりやすい 範囲を広げるより、同じ町内を何度も。犬矢来・縁の下・坪庭を優先
東山区 坂、石段、石垣、寺社の境内。高低差で視界が切れる 段差の裏、石垣の隙間、境内の植栽。上下方向も探す
北区・左京区 船岡山、鷹峯、大文字山、岩倉・大原へ続く山際。市街地のすぐ裏が山 住宅地と山をつなぐ地点(水路・畦・擁壁の切れ目)を早い段階で押さえる
右京区・西京区 太秦・嵯峨野の竹林と農地、桂川。市街と自然が近接 竹林と農地の境、川沿いを線でたどる
山科区 四方を山に囲まれた盆地。市街地から山際が近い 盆地の縁(山との境界)を先に押さえる
伏見区 酒蔵の並ぶ旧市街、濠川・宇治川、広い工場敷地 蔵と蔵のあいだ、水路沿い、夜間無人になる敷地
南区 工場・倉庫・物流施設の広い敷地、東寺周辺 フェンス際、資材置き場、夜間・休日の無人時間帯に確認
地図上に円を描くだけでは足りません。
「猫がどこを通れるのか」という線を読みます。

なお、「大きな道路や川は猫が越えない」という一般論も、絶対ではありません。実際に、川と国道の両方を越えていたケースがありました。越えていないと決めつけて範囲を切らないでください。

8|「してはいけない」ではなく、状況判断です

迷子猫の捜索については、「名前を呼んではいけない」「懐中電灯を使ってはいけない」「近づいてはいけない」など、さまざまな情報があります。

これらを一律に「してはいけない」と考えるのは、適切ではありません。

名前を呼ぶことが有効な場合があります。懐中電灯を使うことが必要な場合があります。飼い主様に声をかけてもらうことが、保護につながる場合もあります。一方で、猫の警戒状態によっては、同じ行動が猫を逃がすきっかけになります。

重要なのは「何をするか」だけではありません。
「いまの猫の状態で、それをしてよいのか」を判断することです。
行動判断の分かれ目
名前を呼ぶ有効です。ただしいつもの呼び名を、いつものトーンで、短く。必死な声・怒鳴り声・叱る声は避けます
懐中電灯を使う夜間は必要です。ただし追い込むように照らし続けない、目に直射し続けない
見つけて近づく猫の緊張が高いうちは動きません。まず観察し、緩んだタイミングを待ちます
素手で捕まえる噛まれる危険があり、強い恐怖を与えるとその場所に戻らなくなります
大通りばかりを歩いて探す猫は大通りを使いません。一本内側の路地・辻子へ入ってください
広範囲に無断で餌を置く地域によっては野良猫への餌やりと受け取られ、トラブルになります
他人の路地奥や寺社の境内に入る京都の路地は住民の生活空間です。必ずひと声かけてから
電柱や街路樹にチラシを貼る屋外広告物条例で禁止されています。撤去されるので数日で消えます

猫の状態を見極めることが、プロの技術です

迷子猫の捜索は、「正しい方法」を一つ覚えればよいものではありません。

猫の状態を観察し、いまは何をするべきなのか、何をしないほうがよいのかを判断する。そして、状況が変われば、その判断も変える。

この「観察して、判断する」ことが、迷子猫捜索の専門的な技術です。判断には、猫の状態だけでなく、周囲の環境、逃走経路、時間帯も関係します。

9|京都での警察・行政への届出は、早いほど有利です

猫は民法上「物」として扱われ、飼い主様の意思によらず所持を離れた猫は、遺失物法上の「遺失物」にあたります。保護した方が警察へ届け出ている可能性があります。

警察では「遺失届を出したい」と伝えてください

「警察に行ったけれど、対応してもらえなかった」というお話をよく伺います。理由があります。

警察には動物を飼育する施設がありません。拾得された犬猫は、拾得者が動物愛護管理法第35条第3項による引取りを求めた場合、遺失物法の返還・提出義務の規定が適用されず、都道府県等へ引き渡される扱いになります(遺失物法第4条第3項)。だから「当署では扱えません」と言われます。

また、警察は捜索機関ではないため、探してほしいという依頼には応じられません。しかし遺失届の受理は警察の業務です。

「猫を探してください」ではなく
「飼い猫がいなくなったので、遺失届を出したいです」

窓口は会計課(落とし物係)で、最寄りの交番でも受け付けてもらえます。環境省と警察庁の連名通知では、警察が「遺失届一覧簿における該当する遺失届に係る記載の有無を確認する」こととされており、動物を受け付けたときと遺失届を受理したときの両方の段階で照合が行われます(環自総発第1401141号)。

キャットワンの実務でも、交番へ届けていた情報がきっかけで、2件のご帰宅につながっています。

京都市内は「京都動物愛護センター」へ

京都動物愛護センター

〒601-8103 京都市南区上鳥羽仏現寺町11番地
電話 075-671-0336
開所時間 9時00分〜17時00分(休所日:木曜日・年末年始)

京都府と京都市が共同で設置している施設です。京都市域は、この京都動物愛護センターと医療衛生センターが窓口になります。医療衛生センターで受け付けた情報も、京都動物愛護センターに集約されます。

京都市以外の京都府内(宇治市・亀岡市・長岡京市・向日市・城陽市・福知山市など)は、
お住まいの地域を担当する京都府の各保健所が窓口です。

いなくなった場所と日時、猫の毛色・体格・特徴、飼い主様のお名前とご連絡先を伝えてください。警察と行政の両方に届けておかないと、情報がつながりません。片方だけでは見落とします。

※連絡先は京都動物愛護センターの公表情報にもとづいて記載しています(2026年8月時点)。お出かけになる前に、開所日と受付時間をご確認ください。

10|どこまで自分で探し、どこから依頼するか

ここまで書いてきたことは、すべて飼い主様ご自身でできることです。それどころか、飼い主様にしかできないことがあります。猫が反応するのは、飼い主様の声だからです。

そのうえで、正直に申し上げます。飼い主様には、立場の上でどうしてもできないこと、判断が難しい場面もあります。

猫を見つけたけれど、どう対応すればよいか分からない

発見したあと、すぐ近づくのか、声をかけるのか、待つのか。猫の状態によって、正解が変わります。そしてその判断を誤ると、見失います。

路地の奥まで、必要なだけ回れない

京都でいちばん猫がいるのは、路地の奥です。そしてそこは、その路地に暮らす方々の生活空間でもあります。訪ねにくい場所ほど、猫はそこにいます。第三者である私たちは、猫の動線から必要な範囲を回れます。

機材がない

町家の縁の下や側溝の奥は、ファイバースコープカメラでなければ確認できません。夜間の通り道は、赤外線・センサーカメラで押さえます。通常の罠に入らない警戒心の強い猫には、専用のドロップ式捕獲器を使います。

探し続けられない

仕事があり、生活があります。眠らずに探し続けることはできません。そして日数が経つほど、猫は見つけにくくなっていきます。

迷われている場合でも、ご相談だけなら費用はかかりません。状況を伺って、いま何をすべきかをお伝えします。

京都で猫を迷子にしてしまったら、
まずは現在の状況をお聞かせください。

ペット探偵キャットワン|京都・大阪・滋賀の脱走猫・迷子猫の捜索専門
※ご依頼場所、交通状況、捜査員の稼働状況により、対応できない場合があります。

参考文献

この記事で述べた猫の行動・生理に関する内容は、次の研究にもとづいています。

  1. Huang L, Coradini M, Rand J, et al. Search Methods Used to Locate Missing Cats and Locations Where Missing Cats Are Found. Animals. 2018;8(1):5. doi:10.3390/ani8010005
  2. Saito A, Shinozuka K. Vocal recognition of owners by domestic cats (Felis catus). Animal Cognition. 2013;16(4):685–690. doi:10.1007/s10071-013-0620-4
  3. Takagi S, Saito A, Arahori M, et al. Cats learn the names of their friend cats in their daily lives. Scientific Reports. 2022;12:6155.
    京都大学大学院文学研究科・麻布大学 ほかの共同研究 doi:10.1038/s41598-022-10261-5
  4. Crowell-Davis SL, Curtis TM, Knowles RJ. Social organization in the cat: a modern understanding. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2004;6(1):19–28. doi:10.1016/j.jfms.2003.09.013
  5. Driscoll CA, Menotti-Raymond M, Roca AL, et al. The Near Eastern Origin of Cat Domestication. Science. 2007;317(5837):519–523. doi:10.1126/science.1139518
  6. Driscoll CA, Macdonald DW, O’Brien SJ. From wild animals to domestic pets, an evolutionary view of domestication. PNAS. 2009;106(Suppl 1):9971–9978. doi:10.1073/pnas.0901586106
  7. Bradshaw JWS. Normal feline behaviour: … and why problem behaviours develop. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2018;20(5):411–421. doi:10.1177/1098612X18771203
  8. Prentiss PG, Wolf AV, Eddy HA. Hydropenia in cat and dog: ability of the cat to meet its water requirements solely from a diet of fish or meat. American Journal of Physiology. 1959;196(3):625–632. doi:10.1152/ajplegacy.1959.196.3.625
  9. Armstrong PJ, Blanchard G. Hepatic Lipidosis in Cats. Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice. 2009;39(3):599–616. doi:10.1016/j.cvsm.2009.03.003

※上記は猫という動物一般の性質に関する研究です。実際の行動や生存できる日数は、個体の年齢・性格・健康状態・気温・水の有無・怪我の有無などによって大きく変わります。特定の猫について結果を保証するものではありません。

猫探偵の完全定額制料金・サービス比較

(A社公式サイトより)

ペット探偵キャットワンとA社の完全定額制料金・サービス比較
比較項目 キャットワン A社
保護プラン 73,580円(税込) 記載なし
1日プラン 記載なし 68,000円(税込)
2日プラン 記載なし 130,000円(税込)
3日プラン 135,800円(税込) 180,000円(税込)
4日目以降を含む総額 135,800円(税込) 4日プラン 220,000円(税込)
成功報酬 0円 0円
基本の捜索体制 男女2名を基本とし、状況に応じて最大3名まで増員 男女2名体制
近隣への聞き込み 女性スタッフ2名で実施 近隣への聞き込みを実施
捜査員の経験 年間100件以上の現場実務者と、 保護歴10年以上の捜査員がチームで対応 男女2名体制
捜査員資格・経歴
  • 小動物看護師
  • ペットセーバー
  • MBAホルダー
  • ロースクール出身
記載なし
Google口コミ 109件・全件星5評価 2026年8月3日時点 8件・星5.0 2026年8月3日時点
探偵業届出 京都府公安委員会
探偵業届出証明番号 第61260008号
記載なし
実店舗・拠点 京都府亀岡市に事務所 神戸市灘区に拠点
対応エリア 近畿2府5県・東海地区・中国地区・宮崎県・群馬県・その他要相談 近畿2府5県・その他要相談
夜間対応 夜間捜索を料金に含む 3日・4日プランは夜間見張り対応
ポスター 制作・配布を料金に含む 制作・配布を料金に含む
カメラ機材
  • センサーカメラ
  • 4G携帯連動リアルタイムカメラ
  • トレイルカメラ
  • 暗視機能付き高性能カメラ
  • 高性能ファイバースコープカメラ
カメラ設置
捕獲機材
  • 猫専門捕獲網
  • 大型網
  • 奥まで見通せる特殊捕獲器
  • ドロップ式捕獲器
  • 各種サイズの捕獲器
捕獲器設置
捜索終了後のサポート
  • アドバイス
  • カメラの貸し出し
  • 捕獲機の貸し出し
  • チラシの増刷
  • 発見時の捜査員による実際の保護※1
アドバイスのみ

※1 発見時の捜査員による実際の保護は、契約書に明記しています。

※キャットワンの捜索+保護プランは、3日間の現場捜索後、 3か月間の無料サポートへ移行します。 4日目以降も契約料金135,800円(税込)から追加料金は発生しません。

※キャットワンの保護プランは、対象猫の居場所や出没場所が把握できており、 主に安全な保護対応が必要な場合のプランです。

※A社の料金・サービス内容は、A社公式サイトで 2026年8月3日に確認した公開情報をもとに作成しています。

※「記載なし」とは、A社が当該サービスや資格を有していないと 断定するものではありません。 A社公式サイト上で記載を確認できなかったことを示します。

※A社は公式サイト内で、近畿各地の市区町村別対応ページを 多数掲載しています。

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